
技法
1. 打鍵と打弦
〈打弦〉のための〈打鍵〉
打鍵:指先で鍵を操作すること
打弦:ハンマーが弦を叩くこと
打鍵すると,内部のアクションが働き,ハンマーを跳ね上げ,弦を叩き,音を鳴らします。
打鍵は,打弦のために行います。
打鍵するときは,打弦を意識します。
まず実際にやってみましょう。ここではダンパーペダルを使用します。
1. 最大音
まず,姿勢・脱力を確かめます。(メカニズム2.姿勢・重力・脱力)
下の譜例の和音を弦に最大の振動を与えるように打鍵します

足の裏を床にしっかり付け,丹田から踏ん張るよ うに下半身の支えを作ります。
それから指先を鍵盤に置き,ピアノ全体を向こうに押すように全体重をかけて打鍵します。
巨大な岩を押して動かすイメージです。
2. 最小音
次に,ハンマーが弦に触れるか触れないか,ほんのかするくらいに柔らかく打鍵します。
肩,肘,手首,指の付け根の関節(MP関節)は完全に脱力し,各関節を緩衝材のように用います。
和音が難しく感じたら音ひとつずつ鳴らしてみます。
一度打鍵したら,次にさらにか弱い振動を弦に与えるよう打鍵します。
5回ほどそのように打鍵します。
(ソフトペダル,消音ペダルは使わないで打鍵します)
※グランドピアノの場合,打鍵が柔らかすぎると底でカクンとかすってしまうので,音は鳴るように打鍵します
3. 少しずつ大きくしていく
まず最小音を打鍵し,次にほんの少しだけ指先にのせる重みを足します。
その次にまた少し足します。
少しずつ指先に重みを足していきます。
最後に最大音に到達するまで行います。
音量で言うと,最大音が fff(フォルティシッシモ)最小音が pp(ピアニッシモ)になります。
少しずつ大きくするのは cresc.(クレッシェンド)です。
音量は,指先にのせる重さの加減で作ります。
最大音から少しずつ小さくしていく打鍵練習もしてみましょう。