
実践
3. 牧歌
〈ブルグミュラー25の練習曲〉より
この曲で学ぶこと
1. フレージング
2. 装飾音符の入れ方
3. 6/8のビート感(拍感)
4. 形式 A-B-A-Coda
補足:11〜14小節の左手の練習方法
留意点:
1. スラーのかかる範囲を注意深く読む(フレージング)
2. 同じ旋律が繰り返されている箇所を見つける(形式)

1. フレージング
スラーひとつを1フレーズとしてフレージングします。
スラーの最初の音はIn,スラーで囲まれた範囲はStay,最後の音はOutの打鍵で手首を上にふわっと上げて脱力,そしてまた次のスラーの最初の音へInで打鍵(手を重力で落とすように)します。
打鍵・手の動き
In/Outごとに手首が上下に動きます。

2. 装飾音符の入れ方
装飾音符はおもに2種類あります。
小さな音符に斜め線が入っているもの(譜例1)と、入っていないもの(譜例2)です。
斜め線が入っている装飾音符は、拍の直前に打鍵します。
斜め線が入っていない装飾音符は、拍のあたまに合わせて打鍵します。
斜め線が入っていない装飾音符をふつうの音符で書くと(譜例3)のようになります。


装飾音符は、古典派ソナタとバッハのインベンションで詳しく勉強します。
ここでは拍の前に打鍵するか、拍に合わせて打鍵するか、の違いだけ覚えておいてください。
(譜例 1)
(譜例 2)

(譜例3)
3. 6/8のビート感(拍感)
8分の6拍子は、八分音符を1拍とし、八分音符が1小節に6つある拍子になります。
6拍子は基本的に、3拍子×2。3拍子の車が2度回転するような拍感です。
1拍目と4拍目がDown Beat(強拍・表拍)で、2,3拍目と5,6拍目はUp Beat(弱拍・裏拍)、1,4拍目の余韻にの っかるような軽い拍感になります。

左手のパートを,1・4拍目をDown Beatで(↓),2・3拍目は軽いタッチで弾いてみましょう。

4. 形式 A-B-A-Coda
多くの曲は「形式」を持っています。これは文章の「起承転結」「序論・本論・結論」と同じような意味合いで、曲にメリハリと立体感、ストーリーを持たせます。
「牧歌」はおおまかに Intro - A - B - A - Coda という形式を持っています。
下の楽譜はA(赤)とB(青)に色づけをしたものです。最初のAの前はIntro(前奏)、2度目のAの後はCoda(結び)になります。
曲の中央のBに向かって盛り上がり、Bから最後に向かって落ち着いていく、山のような形になっていることがわかります。
Aは2度出てきますが、2度めのA(19小節目)は、正確に元の位置に戻ってくるように弾きます。

※厳密に言えば、最初のAはA - A'になりますが、ここでは説明の都合上、Aにひっくるめます。
補足:11〜14小節の左手の練習方法
Bの箇所は、左手だけで2声部とる音型になっています。
曖昧にならず正確に打鍵するためのおすすめの練習方法を記しておきます。
ご参考になさってください。
レの音を2〜6拍目まで5回続けて打鍵します。すべて同じ音量、同じタッチになるようにします。
指先が鍵にごく軽く触れるだけの、軽いタッチで打鍵します。

声部を分けて練習します。まず長い音符から。右手も一緒に弾きます。

次に1の指だけ。5つ続くレの音を、同じ音量、同じタッチで打鍵します。

楽譜どおりに弾きます。1のレの音は練習どおり、すべて同じタッチで弾きます。
(4拍目の付点四分音符でアクセントが付いたり強くなったりしないよう)
