
実践
2. アラベスク
〈ブルグミュラー25の練習曲〉より
この曲で学ぶこと
1. 左手:ビート(拍),タッチ
2. 右手:Q&A
3. 全体の音量のコントロール
留意点:
1. ビート感
2. 楽譜に書かれていること(音符、強弱記号など)を細かく読み取る

1. 左手:ビート(拍)
ビートとは,自分の体内か らわき出る拍動感で,これを一定の速度で刻めるように練習します。
(早くなったり遅くなったりせず,規則正しいテンポで刻めるようにします)
わたしたちと同様に,曲自身も固有のビート感を持っています。
曲のビート感はメトロノーム指示や速度指示(Allegroなど)に提示されています。
曲のビートと自分のビートを合致させていく練習を,ここで行います。
手と口を使って練習
- 手を叩きます。一定の速度で叩きます。速さは自由です。
- 下の譜例①〜③を見ながら,手打ちと口でビート練習をします。
- ビートを維持しながらテンポを少しずつ上げていきます。
- メトロノームを♩=152に合わせ,そのテンポで①〜③を行います。

右手と、手と口を合わせる

左手は4ビートで叩き,口は右手のメロディと一緒にタタタタタン(タカタカタン)と口ずさみます
右手の16分音符とタタタタタン(タカタカタン)は必ずそろえます。
ブルグミュラーには16分音符の速いパッセージが頻繁に出てきます。
音が抜けたりすべったり揃わなかったりすることなく弾くための練習として,上 の方法は有効だと思います。
2. 右手:Q&A
Q(問い)は尻上がりにテンションが上がり,A(答え)は尻下がりにテンションが解放されます。
Qっぽい旋律,Aっぽい旋律を自分で見つけ,自分でテンションを上げたり解放したりして音楽をつくっていきますが,「アラベスク」の独特なメロディは,筆者には下の譜例のようなQとAのかけ合いに聞こえます。

「2.カッコ」後の部分のQとAを見つけてみてください。
答えはひとつではなく,正解・不正解もないので,いろいろ実験しながらやってみましょう。
3. 全体の音量のコントロール
譜読みをするときは,最初にその曲の最大音量(ff,fffなど)と最小音量(pp,pppなど)を見つけます。それから最初に鳴らす音の音量と,全体の平均的な音量を確認します。
「アラベスク」の場合,最大音量はf(フォルテ)で最小音量はp(ピアノ)です。途中にcresc.とスフォルツァンド・アクセント,長いアクセント,dimin.などの,音量の変化を表す指示があります。
たとえば最高音量がfffで,最小音量がpp,出だしの音がfだと,最初のfは,fffの2ランク下の音量であることを踏まえ,あまり強くなりすぎない(最高音量はfffにとっておく),といった計画が必要になります。
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