
読譜
9. 形式
文章に「起承転結」「序論・本論・結論」といった形式があるのと同様,音楽にも形式があります。
文章の形式と同様,音楽の起承転結を明確にし,まとまりのある作品にすることが目的です。
下にあげるのは,音楽の形式の中でもよく使われるものです。
一部形式:A-A または A-A'
二部形式:A-A’-B-A’ など
三部形式:A-B-A、A-B-C など
ソナタ形式:主題-展開-再現-コーダ(A-B-A-Coda)
ロンド形式:A-B-A-C-A-D-A.....
フーガ形式:主題-応答-主題-応答…
等々……
わたしたちが小中学校の音楽で習う日本の歌のほとんどは,一部形式か二部形式で書かれています。
J-PopやK-Pop,歌謡曲の多くは三部形式で書かれています。A-B-CのCの部分がサビの箇所ですね。
二部形式の例

ベートーヴェン「交響曲第9番4楽章〈歓喜に寄す〉」より、筆者編
よく見ると、同じような音の並びがあることに気がつきます。そして同じような音の並びは2小節ごとに見られることがわかります。
まず、最初の2小節に「A」という名前をつけます。

3〜4小節目はAと同じような音の並びですが,最後の部分だけが違います。
このような「最初が同じで,最後だけが違う」箇所は,Aに似たものという意味で「A'」(エーダッシュと発音)と名付けます。
2段目の5〜6小節目は1段目とはまったく違う音の並びです。ですのでここには「Aではない」ということで「B」と名付けます。
そして最後の7〜8小節目は,3〜4小節目の「A'」と音がまったく同じ(6〜7小節目ファ音のタイここでは考えない)なので,ここにも「A'」という名前をつけます。
これで,この「第九の主題」は A-A'-B-A' という二部形式であることがわかります。
わたしたちがピアノを習う上で出会う曲の多くは概ね,
A-B-A-Coda
という形式を持っています。(ソナタ形式もこれに含まれます)
Aは主題,Bは展開,Codaは結びです。
AからBに進むとき,本で言えば,新しいページをめくるような真新しいイメージがあります。そしてBの終わり部分で最高に盛り上がったところでAに戻ります。弾き手にも聴き手にも,元の場所に帰ってきたという安堵感があり,そこから最後のコーダに突入し結末を迎える,という構成です。