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​実践

ブルグミュラー25の練習曲

〈技法への入口〉

使い方・学び方

準備・奏法・読譜で学んだことを実践していきます。

​まず,ブルグミュラー25の練習曲から始めます。

この曲集は中〜上級の方にとっては平易ですが,メソッド習得には最適な曲群であります。難易度の高い曲ではメソッド以外の問題が出てきてメソッドに集中することが難しいからです。

​ブルグミュラー25の練習曲は,基本的な技法の習得だけでなく,ロマン派の作品やウィーン古典派,バッハの音楽への入口にもなる,平易なようでいて実によく練られた練習曲集であります。

​ここで使用する楽譜は,1850年に出版された初版から作成しております。

​現在日本で出版されているブルグミュラー25の練習曲の楽譜とは,スラーや記号などの付き方がだいぶ違っていますが,初版は技法習得の上で理に叶った付き方であり,ブルグミュラー練習曲の原点でもあり,これを採用することにしました。

楽譜は各ページの最下段よりダウンロードいただけます。プレーンな楽譜と解説入りの楽譜をご用意しております。

ブルグミュラーのこの楽譜には,特徴的な記号が使われています。まずその説明をします。
long accent
【長いアクセント】

​赤丸で囲まれた記号,形はデクレシェンドですが,元々は長いアクセントという意味合いです。

​アクセントのかかった範囲の最初の音は手の重みをしっかりのせて打鍵します。そこから徐々にアクセントの終わりにかけて重さを(潮が引くように)引いていき,その先に進みます。

譜例①「1. すなおさ」より

譜例②「1. すなおさ」13小節目より

譜例③「5. 無垢なこころ」より

sfアクセント】

(スフォルツァンド・アクセント)

sf(スフォルツァンド)と長いアクセントが一緒になった記号です。

sfがついた最初の音は,手の重みと同時に,指先で突くようなアクセントで打鍵します。

譜例①「1. すなおさ」14小節目より

譜例②「4. 小さなつどい」11小節目より

譜例③「12. さよなら」14,15小節目より

長いアクセントもスフォルツァンド・アクセントも,元々ショパンがよく使っていた記号で,ショパンの手稿には頻繁に出てきます。ここブルグミュラーで打鍵の仕方、弾き方,音楽のつくりかた等を身につけておくと後々役に立つでしょう。

(ブルグミュラーは1806年生まれ,1810年生まれのショパンとは同世代。ショパンと同じ1832年にパリに来て1874年に亡くなるまでパリに住み活躍しました。ショパンと交流があったかどうかはわかりませんが,名前と作品くらいは知っていたのではと思います)

打鍵・タッチ・弾く・奏でる

本メソッドでは〈打鍵〉〈タッチ〉〈弾く〉〈奏でる〉という言葉を厳密に使い分けます。

打鍵 :指で鍵を押し沈める動作

タッチ:指先の打鍵の加減でつくる音の色彩,奥行き,深みなど,音色をつくるための手指の動作

弾く :打鍵を連続して行い,音楽として演奏すること

奏でる:弾くと同義語,抽象的意味合いが強い

​〈打鍵〉〈タッチ〉は単音=作業

〈弾く〉〈奏でる〉は複数の音の連続=演奏

 

とします。

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