
実践
14. スティリアのむすめ
〈ブルグミュラー25の練習曲より〉
この曲で学ぶこと
ワルツのスタイルを学ぶ

ワルツとは
3拍子の舞曲のひとつです。
3拍子は基本的に1拍目がダウンビート(強拍),2・3拍目がアップビート(弱拍)ですが,ワルツの場合,踊りの動きの加減で1拍目以外の拍に変則的な重みがくることがあります。
この重みにには明確なルールがあるわけでなく,なんとなく4小節ごとにめぐってくる感触はありますが,あくまで肌感覚レベルの感触で,ワルツを確実に上手く弾くには,ワルツの曲にたくさん取り組んで慣れるしかなさそうです。
日本にはワルツの文化がないので不利,と言われますが,西洋人もワルツを日常的に踊るわけではなく,やはりたくさん弾いてリズム感を身につけるのだそうです。
最初の部分を見てみましょう。

Intro(1〜3小節)を見てみると,1拍目に長いアクセントがあり,2・3拍目は短い4分音符で弱拍,軽いタッチで弾くことが見て取れます。
4小節目,(リピート記号を挟んで)3拍目から次の小節に向かって上行型の音型があります。上行型の音型には自然な盛り上がりがあります。ここに「変則的な重み」があると考えることができます。
8−9小節にはもっと明確にクレッシェンド・デクレッシェンドが書かれていますので,この3拍目にも変則的重みがあると言えます。
次の部分を見てみます。

青いラインを引いた箇所は,1拍目以外の重みがある箇所です。(16小節目と20小節目)
16小節目は3拍目に向かって重みがあり,20小節目は2拍目に長いアクセントがあります。
2,3拍目に重みがある場合,1拍目のダウンビートはやや控えめに弾きます。
最後の 部分を見てみます。

Trio(中間部のこと)では,2小節ごとに3拍目に長いアクセントがあります。
音楽の雰囲気も少し変わりますね。
楽譜に忠実に弾く
「スティリアのむすめ」は,楽譜に忠実に弾けばワルツになるようにできています。
書かれていることは一つ残らず音にします。
特に長いアクセントとスタッカート,スラーは必ず行います。
書かれていないことは,しません。
(例:ワルツっぽくテンポを揺らしてみる,なんとなく3拍目だけ重くしてみる,など)
たとえば,1〜3小節の2,3拍目は4分音符です。5小節目以降の左手は8分音符です。拍の長さはきっちり守って弾きます。
スラーがかかっていないところは,スラーでつなげません。Inで打鍵し直します。