
実践
13. なぐさめ
〈ブルグミュラー25の練習曲より〉
この曲で学ぶこと
休符の効果・呼吸
3声部:それぞれの声部の役割
- 主旋律/副旋律/脇役・背景色/バス・土台

休符の効果・呼吸
音楽は〈音符〉と〈休符〉の組み合わせでできています。
休符はときに,音符以上に意味を持つこともよくあります。
休符の効果を見せることも,一つの技法と言えます。
下の譜例を見てみましょう。「なぐさめ」の冒頭部分です。

ソプラノの1拍目に8分休符があります。
ここは注意深く打鍵しないと,この8分休符が埋もれてしまいます。(×の箇所)

打鍵の工 夫:右手アルト(全音符)を慎重にStayで打鍵し,ソプラノ(8分音符)の最初の音をInではっきり打鍵します

1の指でStayで打鍵するときは,親指全体を鍵盤の上に寝かせ,指先ではなく,指の第一関節あたりで打鍵するとよいです。
休符と呼吸

全休符:息をひそめ存在を消す(別のパートにスポットライトが当たっている)
2分休符:待て(そろそろ出番…)
4分休符:息を吸う(出番に備える)
8分休符:ハッと息を呑む(驚き)
16分休符:ひらめき(息を吸うヒマはない)……
「なぐさめ」の最初の休符は8分休符なので,「ハッと息を呑む驚き」の表現になります。
何かを発見して驚く,何かを思い出して驚く,といった表現ですね。
3声部:それぞれの声部の役割
主旋律/副旋律/脇役・背景色/バス・土台、等
Intro
右手ソプラノ:主旋律
右手アルト(全音符)+左手:背景色

A
右手ソプラノ:主旋律
左手+右手アルト(8分音符):背景色

B
右手:主旋律
左手テノール(8分音符):背景色
左手バス(4分音符):副旋律
Coda
右手ソプラノ:主旋律
左手:背景色

軸になるメロディ
- 8小節目の右手ソプラノの4分休符は,他の声部が入ると隠れてしまうので,軸になるメロディだけを拾い出して練習し,4分休符分しっかり息を吸う感覚を身につけておきます。
- 11小節の3,4拍目と12小節の1拍目は主旋律は休符になります。
- 最後の小節は最後の音を打鍵した後も休符が3拍あることを認識しておきます。

背景色になるパート:控えめな音色を出すための打鍵の工夫
①Introの右手アルトと左手の和音:すべてStayで,アクセントを付けないよう慎重に打鍵します。

②Aの右手アルト:ソの音は,指先で鍵をかするくらいの,ごくうすいタッチで打鍵します。
(譜例内スタッカートで表示)
