概説:音楽理論とは
ピアノは,見よう見まねでも弾けるものです。
でももし,「ピアノの弾き方」を知っていたら,見よう見まねではなく,自分自身で鍵盤を操作することができます。
もし「楽譜の読み方」を知っていたら,その曲を自分自身で練習して弾けるようにすることができます。
もし「楽譜の読み込み方」を知っていたら,その曲をより深く理解し,またそれをひとに教えてあげることもできます。
自分が,弾きたいな,すてきだな,と思った曲を自分で弾けるだけでなく,同じように感じる人たちと分かち合うことができます。
この,ピアノの弾き方や楽譜の読み方を「音楽理論」といいます。
音楽とは,音で描く芸術をいいます。
音にはひとの聴覚に訴えるたくさんの芸術的な「仕掛け」があります。
この楽譜を見てみましょう。

音源を聞いてみましょう。
なんとなく不安・不穏な響きがしますね。
この和音は「減七(げんしち)の和音」と言います。
次の和音はどうでしょうか。

上の減七の和音よりずっと安定して安心感のある響きがしますね。
この和音は「長三和音」で、I度(いちど)-IV度(よど)-I度(いちど)の和声進行です。
この和音はどうでしょう。2つ目の音だけが上と違います。

上の和音より,しっかり終わった感じがする響きですね。
この和音も「長三和音」で、I度(いちど)-V7度(ぞくしち)-I度(いちど)の和声進行です。
メロディにも個性があります。まずこのメロディを聞いてみましょう。

こちらはどうでしょう。ひとつだけ音が違います。

2つ目の音に♯(シャープ)をつけるだけで感情的な印象になりますね。
上の2つ目の和声進行には「アーメン終止」あるいは「変終止」という名前がついています。
3つ目の和声進行には「完全終止」という名前がついています。
メロディは全音だと生真面目な感じがし,半音だと感情的な感じがします。
音はその並びや組み合わせで,さまざまな情景や感情を描くことができます。
その並びや組み合わせにそれぞれ名前があり,その名前の集大成を「音楽理論」と呼んでいます。
作曲家はむろん,これらの名前や使い方を熟知しています。わたしたちもこの名前や使い方を知れば,楽曲や作曲者とより近しく,親しくなれるでしょう。
音楽理論の学び方
音楽理論は必ず楽曲と一緒に学びます。本を読んで暗記するような勉強の仕方はあまりお勧めしません。知識が身についても使い方を知らなければ,その知識は宝の持ちぐされになってしまうからです。
楽曲の中で実際にその理論がどのように使われているか,それによってどのような効果があるか,音楽の運びにどのように活かされているか,それを手指と目と耳で学び取っていくことが大切なのです。
