技法2 打鍵と打弦
打鍵は打弦のためにする
ピアノの音を鳴らすのは〈ピアノ〉です。
弾き手は,ピアノが音を鳴らすための〈お手伝い〉をするのがお役目です。
ピアノの音は,ハンマーが弦を叩くことで作られます。
作られた音は,共鳴板(響板)で増幅され,空間に放たれます。
打鍵:指先で鍵を操作すること
打弦:ハンマーが弦を叩くこと
打鍵は,打弦のために行います。
打鍵するときは必ず,「打弦のための打鍵である」ことを心に留めておきます。
【技法1】打鍵の項では,脱力の感覚を掴むために手や腕を鍵盤に振り下ろしましたが,実際の演奏では指先を鍵盤面に付けてから重さをのせます。
鍵盤の上で指がジャンプをしているような感覚です。
この動きを「指先のジャンプ」と呼ぶことにします。
実際にやってみましょう。下の音を打鍵してみます。

次は「打弦」を意識して打鍵してみます。ダンパーペダルを使い,十分に弦を振動させ,音を響かせます。

最後に和音を打鍵してみましょう。f(フォルテ)からp(ピアノ)まで打鍵の強さや重さ,指先の入角度などを変えてみます。
肘や腕に不必要な筋緊張が入らないよう,肩と肘の関節を使って柔軟性を保ちます。

呼吸と打鍵
息を吸うと全身に酸素が送られ筋肉も柔らかくなり,息を止めると筋肉の動きが止まり,吐くと体から空気が抜け筋肉が少しずつ硬くなっていきます。
先ほどの和音を,
- 息を吸いながら
- 息を止めながら
- 息を吐きながら
打鍵してみましょう。
打鍵する時の体の感覚がなんとなく違うのがわかるでしょうか。このとき,弦の響き加減も体の状態・感覚に応じて変わります。
音色を作るとき,指先の打鍵だけでなく,呼吸も役に立ちます。

呼吸の考え方
演奏中,呼吸を止めない,深く息を吸う,など,呼吸について語る方はたくさんいらっしゃいますが,たいていは緊張をほどくためであったり(もちろん,緊張をほどくために呼吸法はとても役立ちます)自身の精神を整えるためであったりします。
音色作りのための呼吸法を唱える人は少ないですが,非常に役に立つことは確かです。日頃からスポーツと同等の姿勢,丹田の重心,呼吸を意識しながら練習を重ねていくとピアノ演奏の世界や可能性が広がると思います。
